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産山紅茶

022

 

春も終わりに近づきFIKAの「釜炒り茶」作りの季節がやってきました。

 

産山村に来る以前は食品加工は全くの未経験で、ましてお茶などは買うものであって自分で作るものではないと思っていました。しかしお茶の木を頂き集落の人達と一緒に製茶をするにつけ、食品の加工についてのイロハを学び、独自に勉強する機会も年々増えました。

味噌、漬け物、製茶、乾物など暮らしの中で必要不可欠な加工品を作る技術はこの田舎でさえ親から子へと充分に伝承されていません。一昔前は各家庭で作り、その家独特の風味や味があったもの達が無くなる。味の多様性が無くなることは文化の縮小にも繋がる悲しい流れなのかもしれません。

 

今年FIKAでは釜炒り製茶の他に「紅茶」の製茶にチャレンジしてみました。日本茶と違い「発酵」の工程があるので全くの未知の世界でした。

 

・まずは茶の葉を選別してなるべく良い葉を選り分けました。それらを網に広げて「萎凋」という葉の水分を飛ばす作業をします。FIKAは一晩風通しの良い日陰に広げておきました。

・次に揉みの工程です。釜炒り茶の場合は揉みの前にすでに炒ってしまうのでここで大きく作業が分かれます。萎凋させた生葉の繊維を壊し中の汁を出して発酵しやすくすために揉みを入れます。この工程で7~8割の発酵が起きるようですが、生葉の揉みになれていないFIKAは少し揉みが少なかったようで、後でこれが大いにお茶の出来上がりに影響してしまいました。

・揉んで塊になった茶葉を解して空気に触れさせ酸化させる。これを何度も繰り返し十分に葉が潰れたら次は発酵の工程に移ります。この時点で手はお茶のタンニンで真っ赤に染まっています。

・発酵機など無いため即席で発酵場をつくり上げます。まずは濡れたキッチンペーパーで小分けにした茶葉を包み、それを口を少し開けたジップロックに入れます。湿度が90~100%の状態を保ち、なおかつ20~25度の温度をキープします。当日は晴れていた為外気温が25度ぐらいでしたので木の木漏れ日の下に置いて温度をキープしました。

・1時間おきに中身をチェックして全体の8割ぐらいが赤く発酵したら取り出します。この日はその状態になるまでに約5時間ぐらいかかりましたが、発酵機などに入れた場合には2~3時間で発酵完了するみたいです。茶葉は発酵熱でほんのり温かくなっていました。ちなみに発酵させすぎるとエグ味や香りが飛ぶため注意が必要とのことでです。

・最後に発酵を止めるために熱を加えます。通常ですと乾燥機に入れてここで熱を加えるみたいですが、茶葉が少なかったので敢えて乾燥機(椎茸用の業務用乾燥機がFIKAにはあります)ではなくてフライパンで弱火で焙煎しながら水気を抜く事にしました。焦がすと全体に臭いが移ってしまうので定期的にザルにあけて細かい粉茶の部分を振い落しながら弱火で焙煎し続けます。水気が抜けるにしたがって色も黒くなりだし香りも紅茶の香りがしてきました。

・一度茶葉をさまし、未発酵の葉や茎、ゴミを丁寧に取り除き、葉の部分をある程度小さく刻む作業をします。そして出来上がったものを再度弱火で焙煎して出来上がりです。

 

飲み味はサッパリした味で香りも紅茶独特の匂いがします。ただし茶葉の影響なのか発酵の少なさなのか紅茶独特の渋みが足りないような気がします。香りももっと立つにはどうしたらよいか思案中ですが、普通のお茶の葉から紅茶が出来る証明にはなったのでとりあえず成功としておきます。

夏の2番茶葉はいつも放置していましたが、今年は茶摘みをして紅茶をつくる研究をしてみたいと思います。みなさんも機会があればチャレンジしてみてくださいね。

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