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Archive for 2月, 2013

神木

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FIKAより車で15分の場所にある神社(国造神社)にあるご神木(手野の大杉)の切株です。この杉は推定2000年を超える樹齢でしたが、平成3年の台風で倒木しそのまま長きの命を終えました。当時の高さは約50m、胴回り10m以上というとてつもなく大きな木でした。

神社に祭られた神をも凌ぐ存在になった木。つまりそれは人間にとってはただの木を超越し、正に神だったのでしょう。

 

FIKAはここに来るといつも思います。この木の生きた年月やその間にあったであろう数々の出来事に比べれば、自分の人生や悩みがいかにちっぽけで短くつまらないものかを。

 

迷うたびにここに来て見上げて、そして良い意味で打ちのめされて帰るいつもの家路です。

と、言いつつも

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今日は久しぶりに雪が舞っています。でも今年は雪が全く降らない冬です。

FIKAは私道のほとんどが坂道のため、雪が降るとこれまた大ごとです。なにせ300mの私道をせっせと雪かきしないと山に閉じ込められてしまいます。気温の低いサラサラの雪なら問題ないのですが、ちょっと暖かい雪が降るともうベチャベチャ。トンボで押すことも出来なくなってしまいます。

真冬の重労働から解放されるだけいいのかもしれませんが、上のような景色を見れなくなるのもちょっと寂しいものがあります。

 

でもやっぱり雪かきはパスしたいです。齢ですね。

風向き好し

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この周辺は冬場は常に季節風の西風が吹く事が多いのですが、今日は珍しく東寄りの風が吹く朝でした。東寄りの風が吹くと、この通りにクリアで美しい風景を楽しむことができます。しかし西風だと中国大陸からのスモッグや黄砂の影響で山は全く見えなくなってしまいます。その差は恐ろしいほどはっきりとしています。

 

現在中国大陸からの大気汚染が日本列島に押し寄せています。迷惑な話ですが少し考えてみると、つい20~30年前は我々も高度経済成長の名のもとに同じように空に煤煙をまき散らし、川を魚が住めないほど汚し、地面に大量の化学物質をしみこませ、自然環境を痛め続けてきました。

 

世間には”人のふり見て我がふり直せ”という言葉があるように、我々は現在の中国を反面教師に自分たちの行いをもっともっと反省すべきなのでしょう。そしてこの30年で失われた種や景観、風俗などにきちんと心を寄せるべきなのかもしれませんね。

遥かな風景

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FIKA の周囲にある広大な原野は写真の様になだらかな丘陵地帯を形成しつつ、風を育み、水を育み、草を育み、獣や虫や山野草を育み、そして我々人間をも育んでいます。

でもそれらの原野は我々人間たちが遥か1000年以上もの昔、平安時代から毎年毎年絶える事無く野焼きをし続け、多大なる犠牲(時には死者もでます)を払いながら人工的に維持してきたものです。でもこの広大な原野はもし人間が野焼きをしなくなったならば、たった数十年で森林へと変貌してしまいます。そしてこの原野に育まれているたくさんの命が失われるでしょう。

 

現在その貴重な原野が危機的状況に陥っています。住民の高齢化や若年者の流出による過疎化。むやみな開発や放牧地の放棄。1000年以上維持できていたものがたった数十年の近代化といわれるもので無に帰ろうとしています。

 

僕たちはいったいどこへ向かっているのでしょうか?

椎茸の原木作り

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さて今年も始まりました。椎茸のホダ木作りの作業。これより3月いっぱいまで山に入り作業を続けます。FIKA が1年間で忙しい時期は夏のMatittoFika での繁忙期以外では、この冬のVillage事業の椎茸作業の2か月間なのです。山はまだまだ氷点下の寒さだけれども、キンと冷えた空気に背筋が伸びて、山や木、空や大地に自分が生かされているということを再確認する時間でもあります。

そして何より、誰もいない山の中で寡黙に作業をすることがFIKAは大好きなのです。去年の夏に近くの公園の受付と管理の仕事をした時にFIKAはなんと!円形脱毛症になってしまいました(笑)。つまりFIKAは必要以上に他人に笑顔を振りまく事をここにきての7年ですっかり忘れてしまったということです。。。昔は営業をやっていたのでそんな愛想笑いなど何とも無かったのですけどね。でも笑わないと頬がタルむのでとりあえず犬に向かって毎日笑ってみています。

 

そんなことはさておき、山での作業の段取りはまず上の写真の木を玉切り(1200mmの長さに切る作業)からです。秋に切っておいたクヌギの木の枝を払い玉切り、次の作業のドリルでの穴あけ作業がしやすいように何か所かに寄せておきます。

体力が勝負なこの作業。腰を痛めないようにしないといけません。

 

黒川温泉

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MatittoFikaより車で15分の場所に黒川温泉があります。九州では人気の温泉郷で鄙びた雰囲気と路地裏を歩きながらの湯巡りが人気の場所です。

 

写真は温泉街からは少し離れた場所にある立ち寄り湯の【耕きちの湯】です。乳白色のお湯に湯の花がたくさん舞っています。湯あがりはもちろんすべすべになります。そしてこの温泉の特筆すべきはこの湯小屋です。大正風の窓や手入れの行き届いた浴室はこの辺でもちょっと珍しいクオリティです。たくさんある阿蘇くじゅうの温泉のなかでFIKAの心が動くのはこの温泉の湯小屋だけです。

 

ですからFIKA は親しい人が遠方から来た時は必ずここの大浴場へ連れて行きます。みな必ず満足して帰るこの温泉。皆さんもMatittoFikaへおこしの際は是非行ってみてください。そうそうここは田舎の緩い営業なので、行く前には電話で営業を確認してくださいね。

 

冬将軍

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やっと産山村に冬将軍が戻ってきました。

 

雪こそ降らないですが、冷たい冷たい北風がビュービュー吹いています。犬達も寒そう。来週からFIKAは椎茸の原木の仕込み作業で山に入ります。今年も怪我なく過ごしたいものです。

 

さて今年は一人ぼっちの山かな?と思いきや、僕の師匠のSさんがComeBackです。Sさんは一足先に山に入っているので、だいぶ進んでいるのでしょう。林内車のウィンチ操作が一人じゃなぁ・・・って思っていたからよかったです!

数の深層

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山で仕事をしていると気づく事があります。偶数と奇数というものです。

 

たとえば上の写真の杭を1本地面にさします。物理的に1本の杭だと安定はしません。

では2本ではどうでしょう?2本を直線上に斜めに刺して頭の部分同士を紐で括り付けてみます。すると直線と並行方向には強くなりましたが、直角方向に押すと倒れてしまいます。

では3本。3本を架空の円の円周上に均等間隔に斜めに指して頭の部分同士を括り付けます。非常に安定しました。では同じく4本を。ある程度安定はしますが3本ほどではありません。

 

FIKAは山での作業中にハタと気づきました。偶数と奇数にはそれぞれ性格があるのではないか?

色々考察した結果、奇数は静的で内に向かう力に強く、偶数は動的で外に向かう力に強い性質があることに気づきました。たとえば三輪車。これに乗ったことがある人はわかると思いますが、三輪車は直進性はいいですがカーブを曲がりにくい乗り物です。ではタイヤが偶数のバイクや車はどうでしょう?動いている時の回転性も安定性も明らかに奇数の三輪車より向上しています。

山で椎茸の原木を組む時の最初の取っ掛かりの組み方を奇数にしてみます。つまり3本脚で組んでみます。これはとても安定しています。何があっても倒れません。では偶数の4本にしてみます。一見強そうですが押すとグラグラと動いてしまいます。半年もしたら自然と崩れてしまうでしょう。

 

つまり数にはそれぞれ性質があってそれに見合った使い方をするととても効率が良いということです。東洋の思想に陰陽というものがあります。陰とは偶数です。陽は奇数です。こんな百姓仕事にも陰陽が絡んでいるのは面白いものですね。

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今年は産山村には雪がほとんど降りません。雪かきしないでいいのですが、なんだか調子が狂います。

九州以外は軒並み豪雪と暴風に見舞われていますが、ここMatittoFikaのある阿蘇産山村は毎日穏やかな日が続いています。

雨氷

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これは先日のFIKAでの風景です。4年ぶりの雨氷を見ることが出来ました。これはとても特殊な気象条件でみられるもので、樹氷とは違い木々に透明な氷が付く現象です。ちなみに樹氷は白い雪の塊が付く現象です。

みなさんも運が良ければ見れるかもしれませんよ。これも冬の阿蘇の魅力の一つです。